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シアターラボ2010
2009年10月16日(金)に合同取材を行いました。 

画像:泊と山田恵理香氏

シアターラボ局長:泊篤志と「シアターラボ2010」の俳優講座講師・演出の山田恵理香氏(空間再生事業 劇団GIGA)の合同取材を行いました!!

 

泊篤志(北九州芸術劇場学芸係ディレクター・シアターラボ局長)

●シアターラボとは?

シアターラボは劇場オープン前より実施しており、もともとは戯曲講座でできた優秀作品を、1ないし2作品上演するという企画でした。劇場オープン以降はプロデュース公演がスタートして、外部から演出家を呼んで作品をつくり、役者もオーディションで選出する・・・という形態においてシアターラボとの違いがなくなってきていました。そこで、シアターラボの今後の在り方と、学芸係がやっていくべきことは何なのかを考え、現制度である劇団制での実施に移行しました。

画像:会見中の泊

参加者はみんな劇団員として在籍し、さまざまな講座(音響・照明・舞台・俳優など)を受講し、その成果発表として最終的に1本の作品を作りあげるという企画に変更していったのが2006年(平成18年度)です。学芸係ではさまざまな講座(音響・照明・舞台・俳優など)を2〜3日で実施しています。期間の短い講座でも効果がないとは思いませんが、その場限りになってしまって、学んだことを利かす実践の場がないと自分自身も講師陣も感じており、作品を1本作ることによって、学んだことを活かせると思って劇団制を採用しました。

 

●俳優講座講師・演出を山田恵理香氏に依頼した経緯

当劇場が実施しているプロデュース公演では東京や大阪から演出家を呼ぶので、この企画では九州の演出家にこだわって企画をやりたいと新生シアターラボ(劇団制)がはじまった時から思っています。劇団制を採用して1年目はどういうものになるのかスタッフ一同不安だったので、私自ら演出をやったという経緯がありますが、翌年は劇団きららの池田美樹氏、昨年はこふく劇場の永山智行氏に依頼をし、実施いたしました。1年目のときから山田恵理香さんの名前は頭にあって、会うたびに「この人どうかな、シアターラボにどうかな」と思っていました。山田さんは「私は査定されてたんだ」と言ってたんですけど(笑)わりと2〜3年前から山田さんで・・・、とは考えていました。GIGAの芝居が、他の劇団とは違ってユニークな作品を作っているし、ユニークなだけではなく、ご本人と話していてちゃんと本人の中で一本筋の通ったユニークさを持たれていると感じ、「やっぱり演出家だな」と思いました。この企画では“演出家”にお願いしたいのですが、九州には劇作家はいるが演出家はいないので、探すのに苦労します。この後どうすんだって感じで(笑)今年は満を持して山田恵理香という風に考えています。

 

山田恵理香氏(空間再生事業 劇団GIGA)

●シアターラボについて、今回の依頼を受けて
画像:会見中の山田恵理香氏

一時的にではあるが、劇団をつくるという意識に基づいて人を集めて一緒に作品をつくるということは面白いと思います。プロデュース公演は、一時的という気持ちがお互いにあるし、プロデューサーの意向が非常に強かったりする場合もあるので、そうすると、これを「劇団だ」と言い張って作品をつくるとどう違うのか、というところに私個人としても興味があります。

私が所属している劇団GIGAは今年で14年経つ劇団です。劇団である必要性、劇団に所属している演出家であるということとかを考えている時期だったので興味深いなと思っている次第です。一時期プロデュース集団とかがはやっていたので「楽そうだ」「魅力的だ」と思っていたのですが、でも14年劇団をやっているから、少し劇団が減ってきたし、やっぱり10年以上劇団を続けているといろいろ苦しい問題とかいろんな人から聞いていてもあるみたいで、それで行ってみようかなと思いました。いろいろ悩んでいたんですけど、相談した福岡の人から「北九州は面白いスタッフの人とかもいて色々出会いがあるから勉強してきたらいいんじゃない?」と言われたので頑張っていこうと思っております。「なぜ劇団じゃなければならないのか」とか「劇団のほうがいいのか」とか、劇団である必要性、劇団に所属している演出家であるということとかを考えている時期だったので興味深いなと思っている次第です。

 

★★Q&A★★

Q:一時的に劇団であるということと、プロデュース公演の違いは何ですか?

 泊:プロデュース公演は先に作品ありき、だと思います。この企画の場合は、現時点で演目は何も決まっておりませんし、集まってきたメンバーで、とりあえず初期にする作業は劇団名を決めるということをやります。要は全部自分たちで決めるということ、演目も自分たちでやりたい台本を持ってきてもらって読みあって、「どれがいい、あれがいい」とか「これ難しそうだ」という議論を経て、上演したい演目を決める、まあメンバー主導だということです。

画像:会見中の泊と山田恵理香氏

 

Q:山田さんの抱いている劇団に対するイメージとかありませんか?
  劇団ってどういうものですか?

山田:自分の劇団でずっとやっていて、結局すごく、形が捉えどころがないという感じがします。入れ替わりがあったり、劇団でやっててもやっぱり全部すべての細かいスタッフとかも含めて1回として同じメンバーでやれたことがないんですよね。要は劇団っていうのは、「今居るこの時のこの人たちのその塊」というか、一人ひとりの存在によってなっているんだよ、みたいな話をよくしています。私は、もう現在は劇団主宰ではないのですが、一番始めは旗上げをして主宰をしていました。もともと「演出だけしたいな」と思っており、今の主宰の菊沢に変わりました。自分が主宰しているときはピラミッド体制みたいな感じで、それが私自身の作品づくりにもあっていなかったし、自分もその集団の中にいてあまり楽しいと感じられなくて、苦しいことも増えちゃった気がします。比較的(主宰が)変わってからは劇団があまりピラミッド体制ではなくなったし、今の方がやっていて楽しいし、起きる問題も変に複雑にならないというか、まあいろんな問題あるんですけど、そんな気がします。だから、このシアターラボでどんな人たちが集まってきて、どういうことをやりたいと思って、どういう空気ができて進んでいくのかというのを、やっぱり初めて集まって会ったときに見て感じあうというのが一番いいのかなと、思っています。劇団の難しさというのはどっちかというと継続していくところにやっぱりある気がするので、今回は3ヶ月とかですけど、それこそ終わってく時くらいに、「これが我々の劇団だ」ということが見えていけば一番いいんじゃないかと思っています。そういう意味では、変に私が何かを言って「それに従っていくんだ」とかじゃなくてメンバーからその活発に意見とかアイデアとか方法とかがでてくるような劇団にできるといいんじゃないかというふうに思っています。

 

Q:劇団のよさはどういうところですか?

画像:会見中の泊と山田恵理香氏

山田:劇団のよさ、うーん、私は我がままが言えるな、とは思っています。それがこの劇団(シアターラボの)に言えるのかは分からないけど、でも、さっき話してたけど、やりたい台本とかをいくらでも読む、ということもできますし、本当に読みたい、と思ったらその日に読みたかったりしてて、読み合わせとか。結構、飲み会の後とかにそのまま読んじゃうみないな、「朝まで残れる人」とか言って読んじゃったり。そういうわがままはちょっと外のプロデュース公演とかだと条件の色んなすり合わせとかがあるので、それでもちょっと普通でも言えないかもしれないですね(笑)

泊:うちの劇団員である有門正太郎くんと話しをしていて、「プロデュース公演だけでは人は育たない」ということを熱く彼は語っていて、やっぱりたとえばクラスの人気者みたいな人はプロデュース公演に引っ掛かってオイシイとこ取りができると思うんですけど、そうではないクラスの隅っこでじっとしているような人間はプロデュース公演にはなかなか引っ掛からないんですよね。でも、そういう人の面白さを見つけて、劇団に3年くらい置いておいて、ちょっとずつその人の面白さを見つけていく、というような長期にわたって誰かと関わっていく、その人のことを見ていく、というのは劇団だからこそできる手法かな、と。一番大きいのが、今うちのメインの役者である寺田くん、寺田剛史は、最初はそんな人間だったんです。「3歩歩いて振り向け」って、全部指示していたくらい、最初は芝居ができないような人間だったんですけど。彼も3年くらい経ってようやく、化けたように芝居をしはじめたんで、まあそういうことが劇団の仕事かな、と。というかそれが一番劇団でやっているおもしろみかな、と。ただ、ようやく使えるようになったころに辞めたりするんですよ(笑)という寂しさもあるんですけど。

 

Q:演出家として山田さんの印象はどのようなところですか?

泊:外見はあのようにアングラっぽいことをやっていて常に人を驚かしている人ではあると思うんですけど、一回稽古を覗かせてもらった時に、わりと思いつきでいろんなことをやらせるんですけど、稽古やっている時と実際の本番ではまったく違うシーンになってたり、「ちゃんと稽古の場所がいい実験になっているな」と感じました。稽古場というのは実験をする場だと思っていて、面白い実験をやっているか、面白くない実験をやっているかは、それは意外と一目了然なので、面白い実験をやっている人だったら「大丈夫だろう」っていう印象が強いです。

実験するにもセンスが必要なのであてずっぽうにやってても決して面白いことにはならず、それは化学の実験と同じで「多分これとこれを混ぜたら水ができるんじゃないか」っていうそういう感覚がにぶい人は多分だめで、そういう実験のセンスがある人だと思います。

 

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